目次
はじめに
スマートフォンやケータイはすでに私たちの生活に密着しており、手放せないものとなっています。そんな携帯電話がどのように通信できるのか、その仕組みについて詳しく解説します。電波の仕組みから基地局の役割、データ通信の原理まで、携帯電話の通信に関するあらゆる側面を探ります。携帯電話の進化を支えるこの高度な技術について、一緒に学んでいきましょう。
●電波と無線通信の原理
携帯電話の通信は、電波を介して行われます。電波は可視光線とともに電磁波の一種で、周波数の範囲により用途が異なります。携帯電話は主に700MHz~28GHzの範囲の電波を使用しています。
NTTドコモが840MHz幅、KDDIグループが880MHz幅、ソフトバンクグループが750MHz幅、楽天モバイルが580MHz幅となっている。
〇電波の特性
電波には直進性、反射性、回折性などの特徴があります。直進性とは電波が直線的に伝搬する性質のことで、周波数が高いほどこの性質が強くなります。反射性は電波が金属などの物体に当たると反射する性質です。一方、回折性とは電波が障害物の影になっても一部は曲がって伝搬する特性のことを指します。
これらの特性を活かし、電波は可視光線が届かない場所でも通信を可能にしています。しかし、電波は建物の壁などに遮られると大幅に減衰してしまうため、基地局から電波を発信する必要があります。
〇無線通信の原理
無線通信は、電波を介して情報(音声、データなど)を送受信する技術です。携帯電話は、音声やデータをデジタル信号に変換し、その信号を乗せた電波を発信します。基地局ではその電波を受信し、デジタル信号を取り出して交換機に送信します。交換機ではその信号が別の基地局に送られ、再び電波に変換されて受信者の携帯電話に届きます。
このように、無線通信は送信側と受信側の間で電波を介してデータのやりとりをする仕組みです。携帯電話は電波の発信と受信を繰り返しながら、常に最適な基地局に接続しています。
●基地局の役割
携帯電話の通信を支える重要な設備が基地局です。基地局は電波を発信し、携帯電話からの信号を受け取る役割を担っています。
〇基地局の種類
基地局には様々な種類があり、用途によって形状や設置場所が異なります。
- 鉄塔タイプ: 高さが数十メートルの鉄塔に設置され、広範囲をカバーする
- ビル屋上タイプ: ビルの屋上に設置され、都市部の携帯電話の通信を担う
- 小型基地局: 電柱など建物以外の場所に設置され、スポット的な電波補完を行う
- 屋内基地局: ビルの中に設置され、室内の電波状況を改善する
基地局の設置には、建設計画、調査、オーナー交渉、工事など様々な手順を経る必要があり、半年から1年程度の期間を要します。
〇Massive MIMOの導入
5Gでは「Massive MIMO」と呼ばれる新技術が導入されています。Massive MIMOは多数のアンテナを用いてビームを精密制御する技術で、通信の効率化と電波の有効利用を実現します。この技術により、より多くの携帯電話からの通信要求に応えられるようになりました。
電波の周波数が高くなるほど、基地局の設置密度が高まるとされています。通信事業者は新技術の導入や基地局の増設によって、安定したサービスの提供に努めています。
●データ通信の仕組み
携帯電話の進化とともに、データ通信の重要性が高まっています。インターネット接続やストリーミングサービスなど、様々な用途でデータ通信が活用されています。
〇パケット交換方式
データ通信は「パケット交換方式」と呼ばれる方式で行われています。この方式では、大きなデータを小さな「パケット」に分割し、パケットごとに最適な経路を通して送信します。受信側ではパケットを組み立て直してデータを復元します。
パケット交換方式のメリットは、通信路を効率的に利用できることです。通信路が一時的に混雑しても、パケットが別の経路に迂回することで通信を維持できます。
〇インターネットとの接続
携帯電話のデータ通信は、電話局のパケット交換機からゲートウェイを介してインターネットに接続されています。ゲートウェイは、携帯電話網とインターネットの間で通信プロトコルを変換する役割を担っています。
インターネットに接続されたことで、携帯電話でウェブサイトの閲覧やSNSの利用、動画視聴などが可能になりました。また、クラウドサービスやリモートワークなど、様々な分野でデータ通信が活用されるようになりました。
●移動体通信とハンドオーバー
携帯電話の最大の特長は、移動中でも通信を継続できることです。この仕組みを支えているのが、「ハンドオーバー」と呼ばれる技術です。
〇ハンドオーバー
携帯電話は常に複数の基地局からの電波強度を監視しています。移動に伴い、現在接続している基地局の電波が弱くなると、より電波の強い別の基地局に自動的に切り替わります。この切り替え処理を「ハンドオーバー」と呼びます。
ハンドオーバーは、携帯電話の移動中でも通信が途切れないように機能する重要な技術です。この技術により、私たちは外出先でも通話やデータ通信を快適に利用できるようになりました。
〇位置登録と呼び出し
携帯電話は基地局との通信を通じて、常に自身の位置を把握しています。この位置情報は位置登録センターに登録されています。相手から発信された通話やデータは、この位置情報に基づいて、携帯電話の現在地に最寄りの基地局へ向けて伝送されます。
ハンドオーバーによる基地局の切り替えが行われても、位置情報は随時更新されるため、通話やデータ通信の接続が維持されるのです。この仕組みが携帯電話の可搬性を高め、さまざまな場所での利用を可能にしています。
★まとめ
携帯電話が繋がる仕組みは、電波という目に見えない技術を駆使し、数多くの基地局やインフラが連携して実現されています。電話機能やデータ通信機能は、無線通信、基地局、交換機、位置登録センターなど様々な要素から成り立っています。
今回の詳細な解説を通して、携帯電話の仕組みについて理解を深めることができたでしょう。この高度な技術によって、いつでもどこでも通信できる便利さが実現されています。携帯電話の進化は、より高速で大容量のデータ通信を求めて止まることがありません。基地局の新技術導入や設置密度向上など、通信のインフラは進化を続けています。携帯電話が私たちの生活をさらに豊かにするために、この先も技術革新が期待されています。
?よくある質問
携帯電話の通信はどのように行われているのですか?
携帯電話の通信は、電波を介して行われています。携帯電話は音声やデータをデジタル信号に変換し、その信号を乗せた電波を基地局に送信します。基地局ではその電波を受信し、デジタル信号を取り出して交換機に送信します。交換機ではその信号が別の基地局に送られ、再び電波に変換されて受信者の携帯電話に届きます。
基地局の役割は何ですか?
基地局は携帯電話の通信を支える重要な設備です。基地局は電波を発信し、携帯電話からの信号を受け取る役割を担っています。基地局には様々な種類があり、用途によって形状や設置場所が異なります。
データ通信はどのように行われているのですか?
携帯電話のデータ通信は「パケット交換方式」と呼ばれる方式で行われています。この方式では、大きなデータを小さな「パケット」に分割し、パケットごとに最適な経路を通して送信します。受信側ではパケットを組み立て直してデータを復元します。パケット交換方式のメリットは、通信路を効率的に利用できることです。
移動中でも通信は途切れないのですか?
そうです。携帯電話の最大の特長は、移動中でも通信を継続できることです。この仕組みを支えているのが、「ハンドオーバー」と呼ばれる技術です。携帯電話は常に複数の基地局からの電波強度を監視し、現在接続している基地局の電波が弱くなると、より電波の強い別の基地局に自動的に切り替わります。この切り替え処理がハンドオーバーです。
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