目次
はじめに
飲食店を開業する際、安全面での対策は必須不可欠です。火災などの危険から従業員やお客様の命を守るためには、消防法の規定を十分に理解し、適切に対応する必要があります。本記事では、消防法に関する飲食店開業時の対応を詳しく解説します。
●消防法に基づく消防設備の設置
飲食店を開業する上で、最も重要なのが消防設備の設置です。消防法では、消火設備、警報設備、避難設備の3つの消防設備を設置することが義務付けられています。
①消火設備
消火設備とは、火災発生時に初期消火を行うための設備のことです。飲食店では、消火器の設置が一般的です。消火器の種類や設置場所、設置基準については消防法で細かく定められています。
火を使用する設備や器具を設けているものは、全ての飲食店に消火器設置が義務になります。
②警報設備
警報設備とは、火災発生時に従業員やお客様に危険を知らせるための設備です。代表的なものとして、自動火災報知設備があります。この設備は、煙や熱を感知すると自動的に警報を発するものです。
また、規模が大きい飲食店では、非常ベルや放送設備の設置も義務付けられています。これらの設備により、迅速な避難誘導が可能になります。
警報設備は比較的小規模な飲食店では設置が免除になることもあるので消防署へ相談にいきましょう。
③避難設備
避難設備とは、火災発生時に安全に避難できるよう設置される設備のことです。代表的なものとして、誘導灯や避難器具などがあります。
特に、多くの人が利用する飲食店では、避難経路をわかりやすく示すことが重要です。そのため、適切な場所に誘導灯を設置する必要があります。
●消防法に基づく届出
消防設備の設置に加え、飲食店を開業する際には消防署への届出が義務付けられています。主な届出には以下のようなものがあります。
①防火対象物使用開始届出書
この届出書は、飲食店の新規開業時や増改築時に提出が必要になります。店舗の概要や消防設備の内容を記載し、消防署に提出します。
提出期限は、使用開始日の7日前までとなっています。遅れた場合は過料などの処分を受ける可能性があるため、注意が必要です。
②火を使用する設備等の設置届出書
厨房設備や暖房機器など、火を使用する設備を設置する場合には、この届出書の提出が義務付けられています。設備の概要や設置場所、安全対策などを記載する必要があります。
提出期限は設置の7日前までで、遅れると過料などの処分を受ける可能性があります。
③防火管理者選任届出書
収容人員が30人以上の飲食店では、防火管理者を選任し、この届出書を提出する必要があります。防火管理者は、従業員の防火教育や防火対象物の点検、消防計画の作成などを担当します。
防火管理者には、甲種防火管理者と乙種防火管理者の2種類の資格があり、店舗の規模によって必要な資格が異なります。
防火管理者になるには講習を受ける必要があるので最寄りの消防署へ確認しましょう。
④消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書
消防設備を設置したり、改修したりする場合は、消防署への届出が義務付けられています。
届出を怠ると罰則が科される可能性があるため、消防設備を新設・改修する際は、必ず消防署に相談し、必要な手続きを行いましょう。届出に必要な書類や手続きについては、管轄の消防署によって異なりますので、事前に問い合わせることが大切です。
設置届はオーナー自ら提出できますが着工届は甲種消防設備士しか手続きができませんので、消防設備会社に委託するのが一般的です。
●消防法に基づく点検・訓練
飲食店を開業した後も、消防法に基づいた対応は続きます。定期的な点検や訓練の実施が義務付けられているのです。
○消防設備の点検
消防法では、消防設備の機器点検と総合点検を定期的に行うことが義務付けられています。
点検は資格を持った点検資格者が行い、結果を消防署に報告する必要があります。点検を怠ると過料などの処分を受ける可能性があります。
飲食店の場合、年に1度所轄の消防署へ点検結果報告書を提出する義務があります。
○防火管理者による訓練
防火管理者は、従業員に対する防火教育や避難訓練、消火訓練を定期的に実施する必要があります。これにより、火災発生時に適切な対応ができるようになります。
訓練の内容や実施時期については、消防計画に記載しなければなりません。防火管理者は計画に基づき、着実に訓練を行う必要があります。
★まとめ
飲食店を開業するには、消防法に基づいた様々な対策が不可欠です。消防設備の設置、消防署への届出、定期的な点検や訓練の実施などが義務付けられています。
これらの対策を怠ると、過料や営業停止処分を受ける可能性があります。飲食店経営者は、消防法の内容を十分に理解し、安全面での対策を確実に行う必要があるでしょう。
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